コーティングとプロテクション、今ならどう選ぶ?
近年、次世代のカーケアとして人気が高まっているペイントプロテクションフィルム(PPF)。透明な専用特殊ポリウレタンフィルムを使用した塗装保護術ですが、取り扱い施工ショップも増え、ご検討されるカーオーナーも多いのではないでしょうか。そこで気になるのがプロテクションとコーティングのどっちを選ぶか。どちらも施工を承っているkiramekiでは今のところ、それぞれに一長一短あると見てお客様に応じてどちらかの選択や組み合わせメニューをご案内しています!
今のプロテクションフィルムはホントにキレイ!
数年前まではスーパーカーやレース・サーキット走行車などごく一部の車両への施工にとどまっていましたプロテクションフィルム(PPF)、特に2022年頃からは急激に施工車が増えてきている印象があります。
弊社では一般カーオーナーのほか高級中古車販売店や輸入車新車ディーラーともお取引させていただいておりますが、その販売車両の動向を見ると、ランボルギーニやフェラーリといったスーパーカー系をはじめ、ストイックに走る方も多いポルシェ、レンジの広いメルセデスベンツやBMWではAMGやMシリーズなどでは特に施工割合がとても高くなってきています。
取り扱い施工店の増加や認知の広がりなど普及が進む要因は色々あると思いますが、その1つと見ているのが「フィルムのキレイさ」です。
プロテクションフィルムは、分厚いフィルムを貼ることで高速走行時の飛び石や生活上の擦り傷といったコーティングでは防げないような物理的な損傷から塗装面を守れるのが魅力。私が創業した時にはすでに存在していましたが、当時はすぐに黄ばんだり、貼った面が少し濁って見えるなどフィルム自体がキレイではなかったりと、美観面で少し難アリでした。
それがここ数年のフィルムは、プロの私の目から見ても驚く程にキレイ! かつては「プロテクションは傷からの保護はできるけど美観は少し損なう」なんてイメージもありましたが、今のプロテクションは本当にキレイで、美観にこだわるカーオーナーにもオススメできるサービスです。
コスパと効果を両立! 定番組み合わせメニュー
プロテクションフィルム(PPF)はキレイで保護性能も高い! ではクルマ全体に貼るのがベストかというと、プロ目線ではそうオススメしきれない理由も。その1つが施工価格で、現時点(2024年10月)では決して身近とは言えない(正直コスパ的には割高といえる…)相場感です。
弊社一例(新車のフルプロテクション)
- 2ドアスポーツカー(ポルシェ・911): 1,450,000円~
- 大型SUV(メルセデスベンツ・Gクラス):2,090,000円~
そこで人気の定番メニューとなっているのが以下の組み合わせです。プロテクションフィルムの高い保護性能の恩恵を効果的に享受しつつクルマ全体のキレイさを維持する、そして施工価格も抑えられる、バランスの取れたメニューとしてご提案させていただいています。
1:フロントセット施工+コーティング
特に飛び石などからの損傷リスクが高いのはフロント周りにプロテクションフィルムを施工し、それ以外の部分にコーティングを施工するメニューです。飛び石の損傷リスクも施工価格も抑えられるのが魅力。
実際、高級車も含めてプロテクションフィルム施工車の多くはこの施工メニューで、むしろ一台丸ごとフルプロテクションしている車両は多くありません。サーキットや高速道路を頻繁に走行される方、再塗装・修理費の高いクルマ(輸入車など)にお乗りの方にオススメです。
弊社一例(新車時/コーティングはジーテクニック)
- 2ドアスポーツカー(ポルシェ・911):730,500円~
- 大型SUV(メルセデスベンツ・Gクラス):931,000円~
2:ヘッドライト/モール +コーティング
もう1つが、ヘッドライトとモール(アルミモール)をプロテクションで保護するメニューです。この2パーツは、飛び石ではなく紫外線や空気中の湿気などで経年劣化(白濁など)が生じてしまうため、最近では新車時の防止策として施工される方も増えています。特にヘッドライトは、劣化がひどくなると車検にも影響してしまう保安部品のため、美観維持以上のコスパあり! サーキット走行などはせず日常的な走行・使用が多い方、飛び石よりも生活傷対策を重視される方に効果的な組み合わせで、フロントフル施工よりもさらに価格も抑えられるため、車両や乗り方問わず幅広いカーオーナーにオススメのメニューです。
弊社一例(新車時・中型セダンクラス/コーティングはジーテクニック)
- ヘッドライトのみPPF+ボディコーティング:319,000円~
- モールのみにPPF+ボディコーティング:407,000円~
※上記掲載は税込の参考価格です。弊社では車両ごとにつど見積りをさせていただいており、サービス価格を確定するものではありません
プロテクションにコーティングを塗布する組み合わせ
プロテクションフィルムとコーティングで施工する場所を分ける組み合わせが人気ですが、もう1つ注目が高まっているのが「プロテクションへのコーティング施工」です。
プロテクションフィルムは、傷はもちろん汚れなどが付着しても塗装面はしっかり守られます。ですが、フィルム自体に付着した汚れや紫外線による変色が目立つようになると、どうしてもクルマの見た目があまりキレイではなくなってきてしまいます。
もちろん、プロテクションフィルム自体にも微細傷を埋める自己修復機能や汚れ付着を防ぐ防汚性、紫外線への耐候性を備えており、施工フィルムの種類やボディ色などによっても見え方は違うもの。ただ、弊社でのこれまでの検証結果や施工実績を踏まえると、コーティング被膜に比べて汚れの蓄積が目立ちやすい傾向にあるのです。
そこでオススメなのが、プロテクションフィルム専用のコーティングです。
Kiramekiでは、ボディ用コーティングでも採用しているイギリス「GTECNIQ(ジーテクニック)」のPPF専用コーティングを使用し、「プロテクションフィルム専用コーティング施工サービス」をご提供しています。塗装面へのコーティング同様に汚れの付着を防ぎ、フィルム劣化の大敵である紫外線も抑制。親水(撥水しない)タイプが多いプロテクションフィルムに強力な撥水効果も持たせてくれ、実はボディコーティングでも「バチバチに撥水させたい」という目的の方が多く、この強撥水が一番喜ばれるポイントだったりもします。
プロテクションフィルム施工車で走行頻度が多かったり屋内保管ではない方、1年以上クルマを保有される見込みの方には特にオススメです。
弊社一例(新車時/ポルシェ・911の場合)
- フロントセット施工:66,000円~
- ボディフル施工:120,000円~
※プロテクションフィルムの施工費は含んでいません。
ただ、ウォータースポットなどとも呼ばれる水シミ汚れも、プロテクションフィルムは塗装面に比べて付着しやすい傾向にあり、実は撥水性がその水シミの発生・固着を促進してしまうケースもあります。
PPF専用コーティングをした方が良いかしない方が良いか、弊社では過去の実績データやお客様の保管環境・お手入れ頻度などを元に提案しています。
価格の高さを除けばプロテクションは完全無欠?
保護性能が高くてコーティングを組み合わせればキレイも維持できる。ですが、残念ながら現在のプロテクションフィルムには施工価格以外にも注意すべきポイントがあり、決して“完全無欠なカーケア”ではありません。
PPF施工の主な注意点
1:経年で汚れてしまう
以前に比べるとフィルム自体は確かにキレイになりました。ただ、フィルム自体の変色や表面のシミの固着、縁断面への汚れの蓄積など、経年での美観上の汚れ・劣化が割と目立ちます!さらに磨いても戻らないことが多いです。
2:施工価格
正直、守れるモノと施工価格を天秤にかけると割高な印象です! 飛び石保護のためにかかるプロテクション施工の金額よりも、多くのクルマでは損傷後に再塗装したり磨き直した方が安く済むことが多いです。
3:納期が長い
コーティングに比べて歴史の浅いプロテクションフィルムは施工ショップ・施工者が多くありません。現在、急増する施工依頼に間に合っていない部分があり、数ヶ月待ちといったケースもあります。
4:塗装を傷めるリスクがある
貼る際のカッター傷混入や、剥がす時の接着剤による塗装剥離…。極力発生しないようにするのがプロの仕事ですが、旧車・低年式をはじめどのクルマ・貼り手でもフィルム貼りには塗装面へのダメージリスクが伴います。
プロテクションフィルム施工で気をつけておきたいポイントは↓で詳しくご紹介していますので、コチラもご参照ください。
施工前に押さえておきたいポイントはありますが、走るクルマの美観を守る上で現時点では最大の保護力を発揮できるのがプロテクションフィルム。愛車を大切にするカーオーナーにとってはとても魅力的なサービスです。
そもそも磨きやコーティングといったカーケアも、走行機能として必要なモノではなく“カーライフを一段高めてくれる”付加価値的なもの。弊社では、そうしたこだわりのカーオーナーの“コスパや合理性では割り切れない愛車への想い”に寄り添ってサービスを提案していますので、カーケアにお悩みの方はまずは一度お気軽にご相談しに来てください。
プロが見る最新カーケア
コーティング専門店のプロの目線で、愛車をキレイにする・美観を維持するためのカーケアの最新動向・お役立ち情報を発信。愛車の輝きをいつまでも…。そう願うカーオーナー様はぜひ一度ご一読ください!
北山友幸
業界の名店カービューティーマックスで修行の後、2013年に独立して自分のショップを構えたプロディテイラー。業務歴はベテランだが業界では若手。北九州出身の洗車&SUV好き。
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